ディック・ブルーナが描く、難聴をテーマにした絵本
物語の主人公はベンという4歳の男の子。難聴のためいつも補聴器を付けています。耳が聞こえないことを周囲に理解してもらえないために困っていること、集中して話をきくので、ときどき疲れてしまうこと、そうした耳の不自由な子どもの気持ちが、読み手に伝わってきます。
ベンが大切にしている「あおいふね」は、先生が言葉が話せたベンへくれたもの。疲れたとき、ベンはあおいふねで遊んで元気を取り戻すのでした。絵本に登場する家族も先生もお医者さんも、そして友達もみんながベンのことを理解して、思いやりをもって接しています。心をこめて気持ちを伝え合うことは、障害のあるなしに関わらず、お互いにコミュニケーションをとるために大切なことです。
外見だけではわかりにくい、聴覚障害というテーマを通して、すべての子ども達が互いの違いを理解して、広い心で人と接することができるように、そんな想いのこもった一冊です。
『ぼくのだいじなあおいふね』
作/ピーター・ジョーンズ、絵/ディック・ブルーナ、訳/中川健蔵、偕成社