「生きている本」と対話する、リビングライブラリー
リビングライブラリーとは、「生きている本」を貸し出す図書館のこと。「本」として参加しているのは、舞台俳優やアーティスト、ホームレスの人、薬物依存症の人、アスペルガー症候群の人、お坊さんなど、さまざまな背景や経験のある人たちです。読み手は、本を借りることで約30分間、語り部である「本」と対話します。2000年にデンマークで始まったこの試みは、いろんな考えや視点をもつ人たちとの対話を通して、偏見を乗り越えることをテーマにヨーロッパから世界各地へと広まりました。
マンモス 22号「Handicapped & Able」特集では、リビングライブラリージャパンの平井麻紀さんに、障害を持つ人との対話についてお話を伺っています。
「私たちは人間支援工学という分野で活動しているので、多種多様な障害をもつ人に“本”になっていただいています。そして、ふだんの生活や思いを語ってもらう。対話では、“本”も読者もはっとする瞬間があるからおもしろいですね。たとえば、見えない世界が当たり前の全盲の人に対して“かわいそう” “大変”と思うのは、見えるのが当たり前の人の感覚だと気づくとか。そうした“当たり前”という感覚同士を確認しあえる場でありたい」
7月12日(火)に六本木で開かれたリビングライブラリーでは、アーティストと、障害をもつ子の母親がそれぞれ「生きている本」として参加。また、7月15日(金)には大阪で、留学生を語り手として、それぞれの国への理解を深めるリビングライブラリーが開催されます。詳細はHPに掲載されています。
個別な体験を聴くなかで、いろんな感じ方や視点があることを知り、それがひいては多様性への理解につながる。リビングライブラリーは、そんなきっかけをつくってくれます。
» Living Library Japan http://living-library.jp
※このインタビューの全文は、『mammoth』No.22 に掲載されています。