木をかこう
木をかこうとするとき、こどもたちはどんな木をかくでしょうか? イタリア生まれの造形家、ブルーノ・ムナーリの作品の中に、木のかき方を教えてくれる絵本があります。この絵本には、いろんなかたちをした木が描かれています。けれど、ムナーリが最初に教えるかき方は、とてもシンプルです。
「枝は、幹から遠くなるほど、だんだん細くなる」、そして、「幹が、まず2本の枝に分かれ、その枝が、また2本にわかれ、分かれるたびに、細くなる」というもの。その規則は、枝が3本、4本、5本などにわかれる木でも同じこと。
「この規則は、かんたんだから、これさえおぼえておけば、だれにでも木はかけます、ただ、こんな規則どおりの木は、ほんとうには、どこにもないでしょう」とムナーリがいうように、風に吹かれて傾いた木があったり、下を向いてのびる枝があったり、枝が全部ぐにゃぐにゃの木なんていうのもあります。でも、どんな「かわりもの」に見える木でも、基本の規則はかわりません。「木のかきかたを、みなさんに教えましたが、このとおりにかいてください、というのではありません。規則をのみこんでくだされば、あとは、みなさん、それぞれ、すきなように、木をかいてください」ー 自由に絵を描くことを教えてくれる、こどもにもおとなにもおすすめの絵本です。
『木をかこう』
ブルーノ・ムナーリ 作 須賀 敦子 訳 至光社