世界中に友だちをつくることが 平和への近道|小野寺 愛(ピースボート共同代表)
「地球一周」の船旅を企画し、年に一回、三カ月かけてさまざまな国を旅する小野寺さん。難民キャンプや紛争地の暮らしをのぞく機会も多く、「平和とは?」と考えるのは日常的なことだそう。一昨年、長女の桃ちゃんを出産してからは、より真剣に地球の未来を思うようになったと言います。
「社会に変化を起こせるのは、未来を真剣に考える私たち親の世代とその子どもたちだと実感しています」。そんな思いから小野寺さんが始めたのが、親子で楽しめる船旅のプログラム「ピースボート子どもの家」。異文化とそこに住む人々のすばらしさに触れ、ポジティブに地球の未来を考え、平和をつくってほしいとの願いが込められているそうです。
小野寺さんにとっての平和とは「明日はもっと楽しいとみんながワクワクしていられること」。そのためには「まず大人がいきいきと自分の人生を楽しまないといけません」。来年には二児の母になる予定の小野寺さん。平和にかける情熱もますますパワーアップしそうです。
─ Q1. いまの日本は平和だと思いますか?
戦争をしていないという点では平和かもしれません。でも、子ども同士が傷つけあったり、無差別の殺傷事件があったりと、明日に希望を持てない人が多いという現実もあり、「本当に平和?」と思うこともしばしばです。旅をしていると、貧困や紛争のなかを生きる子どもたちにも出会いますが、みんな明るく、生きる力に満ちた目をして、私のほうが元気をもらって帰ってくることが多いです。経済的豊かさがイコール幸福や平和につながるのではない。それは日々実感しています。
─ Q2. 平和について考えるようになったきっかけは?
10年ちかく前になりますが、ピースボートの船旅をとおして、紛争をしている国同士、イスラエルとパレスチナの双方に友人ができたことが大きかったです。それまでは戦争のニュースもどこか他人事の部分がありましたが、具体的にその国の人の気持ちを想像できるようになって、当事者のようにイライラしたり焦ったり。平和の重みがぐんとわかるようになったと思います。
─ Q3. 平和な世界をつくるためになにが必要だと考えますか?
世界中の違った文化の国や地域に友人をもつことだと思います。私はその結びつきを手伝う人になりたいと考え、いまの職業を選びました。今回、娘と船旅をしたのですが、彼女は信じられないくらいの速さで行く先々の国の子どもと友だちになり、また乗組員の使うさまざまな言語を習得していきました。差別や固定概念がない子ども時代になら、こんなに自然に異文化に溶けこめるんだと感心しました。彼女の心に根づいた「地球全体が家族」というような感覚は、親子の一生のたからものです。
小野寺 愛 おのでらあい ピースボート共同代表
1978年、横浜生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、外資系証券会社を経て03年より現職。共著に『世界から貧しさをなくす30の方法』(合同出版)。ブログ「船乗り日記」ameblo.jp/sunday0106
ピースボート事務局:03-3362-6307
www.peaceboat.org
※このインタビューは、マンモス19号「平和をつくろう!」(2009年9月発行)に掲載されています。
» What’s Peace?平和をつくろう!|Mammoth School