美しい花姿にいい香り 人の五感を刺激するバラ|大野耕生 ローズスタイリスト

全国各地のローズガーデンデザイン・植栽などを手がける、フラワースタイリストの大野耕生さん。『mammoth』花特集では大野さんのインタビューを掲載しています。
「バラの魅力は見ための美しさに尽きます。形も色もさまざまで、香りもいいので視覚だけでなく嗅覚でも楽しめます。数年前はアプリコットやソフトピンクなど淡い色みでコロッとした丸い形をしたオールドローズ風の花が人気でしたが、いまは真紅などビビッドな色のバラがふたたびブームになっています。新しい品種が作出されたり、逆に古いバラが見直されたり、品種の豊富さも魅力で、ミニバラからツルバラまで姿もいろいろ。多くの花は開花シーズンがありますが、バラは四季咲きの品種もたくさんあって花が咲いている期間が長いのも嬉しいですよね。
それとバラはトゲがあるから危ないといわれますが、僕はだからこそ幼稚園などで栽培してほしいと思う。トゲが危ないと知ることは、子どもの危険回避能力を高めてあげるうえでとても大切です。ちなみにバラには、なぜトゲがあるか知っていますか?
一般的には高い所に登るため、新芽を守るためとされていますが、トゲが服に引っかかったりしますよね。だから、僕はバラがかまってほしくて人を呼びとめるためのものと考えています。バラは人が近くにくると喜びます。人間の波長が嬉しい植物なんです。
バラはローズティーやジャムなどにして味わうこともできますし、フワフワとした花びらはさわっても気持ちいい。それに耳を澄ませていると、パラパラという花が散る音を聞けることもあるんですよ。バラは人の五感を心地よく刺激してくれます。だから私たちはバラに惹かれるんでしょうね。」
大野耕生 おおの・こうしょう
1972年、岐阜県生まれ。バラ農家の長男に生まれ、全国各地のローズガーデンデザイン・植栽などを手がけるかたわら、初心者にもやさしい栽培方法やバラの魅力を幅広く伝える講演活動を展開中。
http://www.rose-stylist.com/
» mammoth no.28 FLOWER