日本のダンス、盆踊り
日本を代表する踊りといえば、夏の風物詩「盆踊り」。老いも若きも男も女も、その場にいる人たちが誰でも参加できて、音頭の歌やリズムに合わせてくりかえし踊っていると、恍惚状態のなか不思議な一体感が生まれてきます。そもそもの起源は仏教行事で、平安時代に発生した念仏踊りが、死者を供養する盂蘭盆会と結びついたもの。それがいつしか芸能に重点がおかれるようになり、全国各地の文化・習俗と交わってそれぞれに独自のスタイルで進化しました。
400年以上の歴史をもつ「阿波踊り」は日本を代表する盆踊りで、徳島県内のいろいろな場所で開催。男踊りと女踊りがあり、女性は鳥追い笠を目深に被るのが特徴。「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ」「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」で知られる2拍子のリズムや鳴り物の音は派手で陽気で、「騒がしい」を語源にもつ「ぞめき」と呼ばれています。「連」という千以上の集団が踊り狂うさまは圧巻で、たとえ「見る阿呆」であっても、騒ぎたつような熱いエネルギーを感じられます。現在は徳島県内だけでなく、東京・高円寺をはじめ全国で開催され、各地に熱狂の渦が生みだされているのです。
» mammoth No.29「DANCE」特集|魂に響く、からだの遊び