アラスカのマクロビ・コミュニティに暮らす|マクロビオティック・シェフ 西邨マユミ
アラスカのマクロビ・コミュニティに暮らす – 家をテーマに、インタビューしている本誌『mammoth』HOUSE 特集。さまざまな分野の賢人たちの言葉をきっかけに、親子で家について考えてみてはいかがでしょう。4人目は、 マクロビオティック・シェフの西邨マユミさんです。
– マドンナのプライベート・シェフを退いた後、2013年からはアラスカ南西部のキーナイ半島に暮らしています。ここにはアイオニアという小さなコミュニティがあり、160エーカーほどの野生の土地に10棟の美しいログハウスと、大きなコミュニティセンター、オーガニックの畑や温室などをつくり、マクロビオティックの理念に基づいて生きる家族が40人ほど共同で自給自足の生活を送っています。そこで私はネイティブアメリカンの移動可能な住居、ティピで暮らしています。
コミュニティでの暮らしは、農作業、料理(完全な玄米菜食)、そしてミーティング。それ以外は、まったく自由です。生活の中心は食事で、毎日子どもたちもみんなで食事をつくります。また、毎朝2時間のミーティングでは生きかたやリレーションシップなど、ひとりひとりの心の問題についてグループセッションをするのです。自分の問題をいったん切り離してみんなの議題にしてしまい検証しあうと、いつの間にか問題を客観視できるようになって、解決していくんですよね。
アイオニアはシンプルな暮らしのなかで、人生にとって本当に必要なものに安心して光を当てることができる、とても静かで平和なところ。食べ物だけでなく、ともに暮らす人々と心のケアや体を動かすことを通じて、生きるバランスを取り戻していける場所です。こんなコミュニティを、いつか日本にもつくってみたいですね。
西邨マユミ にしむら・まゆみ
1982年に渡米し、久司道夫氏に師事。マドンナをはじめセレブのパーソナル・シェフとして活躍するほか、キューバ政府の有機農業支援やがん患者の料理指導など、マクロビオティックを広めるために世界を飛びまわっている。
» mammoth No.30 HOUSE Issue