photography: Mie Morimoto

アーティスト遠山敦さんと一緒に手のひらで絵を描いてみよう!

強い力士の手形は御利益があるとして飾ったり、産まれたばかりの赤ちゃんの手形は思い出として残したりします。大きな手、小さな手、ふくよかな手… いろんな手がありますが、だれひとりとして同じ形の手はありません。今回はアーティスト遠山敦さんと子どもたちの手のひらで、大きな絵を描きます。
ピカソの絵を模写したり、大きな窓に絵を描いてから消してみたり、ユニークな内容で新しい絵の楽しみかたを体験できるワークショップを開催しているアーティストの遠山敦さん。今回は手のひらをつかって大きな紙に絵を描きました。
まずは、自分の好きな色の絵の具を選ぶところからスタート。手のひらに絵の具をのせてまんべんなくのばし、練習用の紙にペタン、ペタン! 今度は本番。ひとりずつ紙の中心から円を描くようにして手を置いていくと、手の形のスタンプがどんどん増えていきます。
「僕が初めて手のひらで描いた動物はライオンでした。手のひらを放射線状に置いていくうちに、たてがみに見えたんです。それ以来、何度か手のひらを使って絵を描くワークショップを開催しています。どんなワークショップをするときもそうですが、やりかたを考え過ぎても、良くも悪くもそのとおりにはならないので、臨機応変にやるようにしています。今日は子どもたちに好きな色を選んでもらったら、赤色が残ってしまったのですが、色も目立つし僕の手も大きいので少し控えめにしました。最終的にはバランスもよくなり、いい方向に出ましたね。
僕がワークショップをする理由のひとつに、参加する人たちにとって、少しでも「手」を動かすきっかけになればいいなという想いがあります。そして、絵だけではなく「手」を使っていろんなことを親子でやってみたらいいと思います。たとえば、家で子どもが絵を描きたいと思ったときに、すぐに絵の具やクレヨンを出してあげられる環境をつくれたらすごくいいですね。子どものやりたい気持ちって、すぐに変わってしまうから」
大きな紙が手のひらのスタンプでいっぱいになると、遠山さんが別の紙を取り出し「これでクジャクの体をつくろう」と提案。くちばしと目、そして冠羽を描いて、紙のまんなかに貼りつけると…。あら不思議、みんなの手のひらは、あっという間に大きく羽根を広げたクジャクへと姿を変えたのです。
遠山敦
アーティスト、イラストレーター。1970年、岐阜県生まれ。鳥をモチーフとした絵を多く描き、作品集に『BirdBook』『ColordBirdBook』( ともにUtrecht刊)がある。「IID kids WORKSHOP in summer」世田谷ものづくり学校、「土と足で遊ぶアート体験」INAXライブミュージアム、「ピカソ模写の会」など、日本各地で絵画教室や、楽しみながらワークショップを企画、開催している。
atsushi-toyama.tumblr.com
mammoth No.32「HANDS」掲載。