隠れる場所がある不均質さをもった家|建築家 永山祐子
隠れる場所がある不均質さをもった家 – 家をテーマに、インタビューしている本誌『mammoth』HOUSE 特集。さまざまな分野の賢人たちの言葉をきっかけに、親子で家について考えてみてはいかがでしょう。3人目は、建築家の永山祐子さんです。
– 2歳の息子と1歳の娘、ふたりの子育てをしながら仕事していることもあって、今は実家に暮らしています。「家」を強く意識したのは小学校3年生。実家が建て替えをしたんです。住みたい家を想像してショールームを何件も見てまわって。「隠れる場所が欲しい」というリクエストは通りませんでしたが、住む家を想像するのがすごく楽しかったのは覚えています。
最近手がけた「勝田台のいえ」はふたりの子どもがいる方の住宅兼店舗。ここでテーマにしたのは、「気配を感じる」ことです。店舗と家は完全に分断するわけではなく、空気層を入れて浮かせ、子どもたちがお父さんの仕事場をちらっと見ることができる。そのちょうどいい距離感を探りました。
子どもが小さいうちはいいのですが、大きくなると生活する時間帯が違ってきたりして、一緒に過ごす時間がどんどん減ってくる。そうなったときに、なにを共有するかというと「空間」。オープンでフラットなだけではなく、どこか子どもが隠れられる場所、ひとりになれる居場所があって、なんとなくみんなが共有できる空気がある。それが理想の家だと思っています。
今は核家族で家族の単位が小さくなっているぶん、フットワークが軽い。なので、一箇所に定住するだけが「家」ではないという人も増えてきています。都会の家は最小限の機能で、地方に友人とシェアをして山小屋を持ったり。そのように、住む場所をアクティブに自由に考えられたら、もっと家が楽しくなると思います。
永山祐子 ながやま・ゆうこ
1975年、東京生まれ。1998年、昭和女子大学卒業後、青木淳建築計画事務所を経て2002年に独立。「ルイ・ヴィトン大丸京都店」「豊島横尾館」や「丘のある家」など住宅などの設計を手がける。 http://www.yukonagayama.co.jp/
» mammoth No.30 HOUSE Issue