自由な家づくりをとおして生きかたを問い直す|タイニーハウスビルダー 竹内友一

自由な家づくりをとおして生きかたを問い直す – 家をテーマに、インタビューしている本誌『mammoth』HOUSE 特集。その分野の賢人たちの言葉をきっかけに、親子で家について考えてみてはいかがでしょう。5人目は、タイニーハウスビルダーの竹内友一さんです。
– 海外を転々としていたときは、いつも人の家に間借りして生活していました。ロープを一本渡して布を掛け、マットを敷いて、大切にしている石をいくつか置く。それだけで自分の空間ができるという意識がありました。
タイニーハウスというのは、ツリーハウスやボートハウスなどを含めた小さな家を指し、タイニーハウスムーブメントという運動は「シンプルな暮らしかた」を求めること。たんに家の形やサイズをスタイルで選ぶという問題ではありません。小さな家に住むということで、いかにして自分の身のまわりから不要なものをなくし、必要なものを選びだしていくか。それはモノ選びにとどまらず、エネルギーをどう選択するか、お金をどう使うか、どんな家に住むかを真剣に考え「生きかた」自体を問い直すきっかけのひとつなんです。
タイニーハウスも少し前はセカンドハウスとして持つ年配の人が多かったのですが、最近では20〜30代の方がすごく増えている。それは家に対する意識の表れなのではないでしょうか。少々極端な暮らしかもしれませんが、タイニーハウスに住み始めると、内と外の感覚、自然との接しかた、エネルギーや環境への意識が変わってきます。
結婚して子どもができて、成長して……とライフステージは変わっていくのに家は一度買ったら一生変わらない。今の社会構造や人の暮らしを考えると、もう少しフレキシブルに「家」を選んでつくることができたらおもしろい。その選択肢のひとつがタイニーハウスなのだと僕は思います。
竹内友一 たけうち・ゆういち
1974年生まれ、東京在住。20歳で渡欧、クリエイターの下で便利屋修行。興味の赴くままに多様な職業を経験。現在はツリーハウスやタイニーハウスの制作をしながら全国各地を旅している。 http://www.treeheads.com/
» mammoth No.30 HOUSE Issue