KIDS × ARTIST クライスターパピアに挑戦!「Play with Color Workshop」レポート
クライスターパピアとは、南ドイツの伝統的な紙染めの技法のこと。ヨーロッパの人々の暮らしのなかで、本の表紙や壁紙に使われてきました。今回は、森住香さんと一緒に、子どもたちがクライスターパピアづくりに挑戦しました。
まずは白い紙にスポンジで水を塗るところからスタート。紙に水分を含ませ、しっかりと床に固定できたら、絵の具で色をつけたでんぷん糊を刷毛で塗っていきます。次に、自分の指やいろんな形の櫛を使って、好きな模様を自由に描いていきます。
「双子の姉がドイツで製本の勉強をしていたのですが、彼女が手がけたクライスターパピアの作品を見て感動したのが最初の出会いです。本当に素敵だったので、すぐにどうやってつくるのかを聞いて。実際にやってみたらすごく楽しかったので、その頃から、いつか子どもたちと一緒にクライスターパピアをつくりたいと思っていたんです。今日は、子どもたちがはっきりと自分の染めたい色を選んでいたのが印象的でした。紫が使いたいと言った子の目の前で赤と青を混ぜたら、「紫になった」って目を輝かせて喜んでいたのもかわいかったです。本当は、用意した色の組み合わせで、紫以外の色もたくさんできるし、それを教えることは簡単。でもそうじゃなくて、一緒に色を混ぜたり、つくったりすることが大切だと思っています。
瓶の中で糊を混ぜると、思いがけない模様や色合い、グラデーションが偶然生まれることがある。そういうときは、自分で染めながらうれしくなりますね。日々の暮らしのなかで、いいことがあったり、心地いい音楽を聴いたり、すごくきれいな空や風景を見たりしたときに、わくわくする。いまもまっ白な紙を前にしたとき、そんな気持ちになれるようなものを、この手で生み出したいという想いがどんどん湧いてくるんです。自分の好みやそのときの気分が結びついた色と描きたい模様を、紙の上で目いっぱい楽しみながら表現できるところがクライスターパピアの何よりの魅力ですね」
短い時間で色や模様を決めたり、あるいは描いては何度もやり直したりと、発想もかける時間も十人十色。その子だけがつくることができる色と模様で、世界に一枚だけのクライスターパピアができあがりました。
森住香
1976年、福岡県生まれ。多摩美術大学大学院修了。2007年に姉妹で「ツヴィリンゲ」を立ち上げ、クライスターパピアの制作をはじめる。個展、グループ展で作品を多数発表。ワークショップも行い、クライスターパピアの普及に努める。2016年より「シュヴァン」の名前で新たに自身のクライスターパピアを制作している。www.zwillinge.jp
mammoth [マンモス] No.36 COLOR Issue(2018.3.15発行)
https://www.mammothschool.com/2018/03/mammoth-36-color-issue/