コラージュに挑戦しよう|KIDS × ARTIST vol.18 伊藤桂司
国内外で見つけてきた古い雑誌やポスター、カタログなどの印刷物や、自身で撮影した写真を使ったコラージュ作品をつくりつづけているアーティストの伊藤桂司さん。今回、伊藤さんと子どもたちは、「楽園」をテーマにコラージュに挑戦しました。
まず、伊藤さんが持ってきてくれた写真のカラーコピーや雑誌の切り抜きのなかから気に入ったものを選びます。次に、選んだ素材とそれぞれ用意してきた写真をはさみで切り抜いていきます。
「今日参加した子どもたちの年齢は、僕にとってはるか昔のこと。子どもたちが、どんな風にコラージュをしていくのか興味深く見ていました。悩んだり迷ったりすることなく、気に入った素材をどんどん切って貼っていましたね。のびのびとやっていて、見ていて気持ちがよかったです」
おもちゃ、かき氷、弟、愛犬、アイスクリーム、パンダ、赤ちゃんのころから使っているブランケット …切り抜いた素材を夢中で画用紙に貼り付けて、子どもたちは自分の楽園をつくっていきます。
「僕がコラージュに夢中になったのは、学生のころ。その当時、アメリカンコミックから影響を受けて友だち何人かとリレー方式でノートにまわし描きをしていて、あるときに友だちが絵ではなくコラージュをつくってきた。コラージュって、シュルレアリスムから影響を受けた高尚なものだと思い込んでいたけど、友だちがつくってきたコラージュは、自分たちで旅行に行ったときの写真とかガムのパッケージとかを使った日常のコラージュだった。でもすごく新鮮で、それを見たときの衝撃はいまだに残っていますね。彼に感化されて、コラージュをやりはじめたんです。作品をつくる前にイメージもするけど、たまたま切ったものが隣り合った瞬間に“ああ、これ でいいじゃない!”って予想がつかない仕上がりになる。それが楽しくて、新しい出会いを求めてやりつづけている感じかな。“楽しい”ってことは何よりも大切なことだと思います。自分が楽しいことが何かって分かっていることは幸福につながっていくと思うから。今日は子どもたちの楽しんでいる様子をみることができたし、潔さも十分吸収したので、これからまた新鮮な気持ちで作品づくりに取り組みたいと思いました」
あっという間に時間が経ち、大好きなものに囲まれた空間をコラージュで表現した子どもたち。ひとりひとりのカラフルでいつか住んでみたい「楽園」ができあがりました。
伊藤桂司
1958年、東京都生まれ。主に広告、出版、音楽関係などの分野でグラフィック、アートディレクションなどを手掛ける。2001年度東京ADC賞受賞。個展多数。国内外の展覧会にも参加。作品集は『LA SUPER GRANDE』(ERECT LAB.)など多数。京都造形芸術大学客員教授。UFG代表。site-ufg.com
mammoth [マンモス] No.39 PHOTO Issue