この洋梨をかじったのはいったい誰でしょう?
マンモス 22号の表紙になっている、あらゆる方向からかじられた跡のある洋梨。あなたは洋梨をこんなふうにかじって食べますか? この洋梨はある自閉症の子どもがかじったもの。そしてこのかじられた洋梨に感動し、その写真に色をつけた人物が、芸術家で建築家、思想家でもあった故・荒川修作さんと、パートナーのマドリン・ギンズさんです。
「自閉症の子どもはこうしてものを認知していくのです。初めて出会ったものとていねいに向きあい、ものとの関係を築いていく。これこそ、ものを知るときの正しいアクションなのです」。
そんなふたりがものづくりのモデルとしているのが、生後19カ月で聴覚と視覚を失ったヘレン・ケラー。ヘレン・ケラーが身体を使い、自然と環境、人間の関係を身につけていったように、誰もが新しい身体の可能性に出会える住宅や公園、そしてさまざまな人が共生する町や社会をデザインしました。ユニークな形、カラフルな壁、でこぼこした床…。「いつもいちばん困っている人のことを考える」というふたりの作品は、一風変わっているけれど、誰もが活かされ、誰もが元気になってしまう、不思議なエネルギーに満たされた空間です。
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