アーティスト鈴木康広さんと、未来にまく種をつくろう
アーティストを講師にむかえ、子どもたちがアートに挑戦。KIDS×ARTISTでは、アーティストと子どもたちが本誌のテーマについて考えながら、造形物を制作します。
第1回目の講師は、アーティストの鈴木康広さん。鈴木さんのご指導のもと、子どもたちが「未来にまきたい種」をつくりました。
「未来にまく種」ワークショップ Seed Balloon Workshop
葉っぱの形をした紙の両面に描かれた、開いた目と閉じた目。その目を空中で放つと、ゆらゆら回転し、「まばたき」しながら降ってくる…。代表作『まばたきの葉』で知られるアーティスト、鈴木康広さん。今回はテーマが「未来」ということで、鈴木さんの作品にもあるバルーン素材を使い、「未来にまきたい種」を制作することになりました。
「僕は普段、あまり未来について考えません。だから未来がどうなるかも想像できないのですが、“未来”と聞いて、ふと種が浮かびました。たくさんの情報がつまった種は、未来のもと。そこで子どもたちに、未来に開花させたい種の形を想像させ、そのなかに入れたい情報をさまざまな素材を使って表現してもらいました。
種ということで、僕は植物の種をイメージしていたのですが、子どもたちの想像力は豊かで、気がつけば種の形はうさぎやペンギン、サッカーボールになっていました…。制作過程では、子どもたちひとりひとりのこだわりを受け止めたり、ひたむきな姿を目の当たりにして、“未来”は単なる時間の概念ではなく、生きるということや人の心にかかわる魅力的な響きをもった言葉だと感じました。
もし僕が、“未来にまく種”をつくるとしたら、いわゆる種の形をしたバルーンのなかに、いまの空気をつめるでしょうね」。
予想外の展開となった「未来にまきたい種」。しかし、その種はたしかに子どもたちの夢や希望のつまった未来の種となり、青空に浮かびあがりました。
鈴木康広
1979年、静岡県生まれ。2001年に発表した『遊具の透視法』をきっかけに国内外の多数の展覧会に参加。代表作『まばたきの葉』は、現在もパブリックスペースでの展開を続けている。昨年、羽田空港で開催された『空気の港』では展示全体のディレクションを担当。今夏、瀬戸内国際芸術祭に『ファスナーの船』を出展し話題を呼んだ。
※ この記事は、マンモス 21号 「IMAGINE THE FUTURE どんな未来を想像する?」(2011年9月発行) に掲載されています。