調理も修業の精進料理|藤井まり・藤井こまき 精進料理家|JAPON interview 4
日本をテーマにお話をうかがうmammoth “JAPON” インタビュー。第4回は、精進料理家の藤井まり・藤井こまきさんです。
– 精進料理は仏教と一緒に日本に伝わったもので、「不殺生戒(追いかけて逃げるものを殺してはいけない)」を守り、お坊さんたちが元気に毎日修行できるよう工夫されたもの。食という日常茶飯のことを、毎日きちんとこなすことが修行のひとつなのです。
精進料理ではまず最初に「淡」の考えかたがあり、調理の基本として「五味・五色・五法」があります。
「淡」とは、極端に偏らない「中庸」を指します。淡の味つけで素材そのものの旨みをいただくのです。
五味とは、甘い、辛い、酸っぱい、塩味、苦み。五色とは赤、黒、緑(青)、白、黄。五法とは、生、煮る、蒸す、揚げる、焼くこと。食材によって、味や色、調理法を使い分け、自然の恵みそのもののエネルギーを引きだしていただきます(藤井まり)。
精進料理家の家に育った私にとって、大豆から味噌をつくること、春にはワカメが家に溢れ、冬になると沢庵のカーテンができることは日常の風景のひとつでした。私はそんなふうにして日本人として育てられたのです。
日本人に育てられた環境を活かして「日本的食育」の活動をしています。食育といっても難しいことではありません。日本の四季に合わせた旬の食材を使い、ひなまつりにはちらし寿司とはまぐりのお吸い物といったように、行事食を取り入れる。それだけで食事の際に季節の野菜の会話ができますよね。
栄養だけではなく、食材の背景を知ることが、日本人としての心と身体をつくるのだと思います(藤井こまき)。-
藤井まり・藤井こまき
まりさんは鎌倉にて精進料理教室『禅味会』の指導にあたる。中国・北京に留学し、薬膳・中国精進料理を研究。こまきさんは、精進料理研究家・食養指導士として、食育イベントや食事指導などでも活動中。http://konnichiha.net/fushikian/
※このインタビューは mammoth No.25「JAPON」特集に掲載されています。Text: Keiko Kamijo