Kozaburo Sakamoto

リコッタチーズのお団子|バッボ アンジェロ

「料理の基本はすべてマンマから教わった」という、イタリア人シェフ、アンジェロ・コッツォリーノさん。キッチンにいるマンマのそばで、いつも料理の手伝いをしていたというアンジェロさんに、マンマから受け継いだ大切なこと、幼少期を過ごした南イタリアでの思い出について語ってもらいました。
「僕が育った南イタリアのカラーブリア地方は、ほとんどの家庭が自給自足。春になると豆の収穫がはじまり、夏にはもぎたてトマトを使ってのトマトソースづくり。秋になるとワインを仕込み、そして冬の寒い時期には、育てていた豚を殺して、生ハムや腸詰めなんかをつくる。家族みんなで協力しあい、命の糧をつくった体験は、今でも忘れられない思い出です。マンマの料理は、そんな食材やバッボ(お父さん)の畑でとれた野菜を使った伝統料理。”料理はハートでつくるもの“。そういうマンマの料理はどれも最高で、食べた人が幸せな気分になってしまう特別な味。だからマンマが教えてくれた大切なことを、今度は僕が多くの人に伝えていきたいと思っているんだ」。

_MG_9403
【リコッタチーズのお団子 Polpette di ricotta e pane in umido】
僕の生まれたカラーブリア地方の伝統料理。おいしくて一度に20個食べたことも…
●材料(4人分)
リコッタチーズ 2パック(500g)、パン粉 大さじ8、卵1個、パウダーチーズ 大さじ4、パセリ(みじん切り)小さじ1、オリーブオイル 80cc、ナツメグ 少々、にんにく  大1かけ、セイジの葉 4枚、ホールトマト 1缶(400g)、チキンブイヨン 100cc、塩、こしょう 各適宜
●つくりかた
1, リコッタチーズにパン粉大さじ6、卵、チーズ、パセリ、オリーブオイル30cc、ナツメグ、塩、こしょうを加え、手でよく混ぜあわせる。
2, 残りのパン粉を1に加えてさらに練り、冷蔵庫で30〜40分ほどねかせる。
3, 鍋にオリーブオイル50cc、つぶしたにんにくを入れて火にかけ、にんにくが薄く色づいてきたらセイジを入れる。
4, ホールトマトを入れ、中火で5分煮て、軽く塩、こしょうする。
5, チキンブイヨンを加え、煮立ったら塩、こしょうで味をととのえて弱火で少し煮る。
6, 2を好みの大きさ(直径2〜4cm)のボール状に丸める。
7, 5の鍋に団子を並べ、中〜弱火で40分煮る。表面が乾かないように、途中でソースをすくって仕上げる。
アンジェロ・コッツォリーノ
1968年、南イタリア・カラーブリア州生まれ。5歳よりトスカーナ州フィレンツェで育つ。1989年、初来日。「カルミネ」「ソリッソ」を経て、一時帰国。 1995年に再来日し、2001年、自由が丘に「バッボ アンジェロ」をオープン。またサッカーの解説者としても活躍中。著書に『マンマの味 手打ちパスタ』(SSコミュニケーションズ)『ちょっと一皿イタリアン』(文化出版社)がある。www.angelo-san.com
この記事は、マンモス13号(2006年9月発行)に掲載されたものです。