Photography: Yukiko Matsunari

いい湯だな 温泉大好き日本のサル

私たちが暮らす日本に棲むニホンザルは、ヒトを除いた霊長類のなかで最も北に生息する北限のサル。そして、ここで紹介する長野県地獄谷のニホンザルたちは、世界で唯一の温泉に入るサルです。1970年にアメリカの写真雑誌『LIFE』に登場し、冬に温泉を楽しむ「スノーモンキー」として世界中の人々に知られるようなりました。
サルたちは、昔から温泉に入っていたわけではありません。地獄谷野猿公苑での餌づけが成功し、サルたちが公苑にいる時間が多くなったある冬の寒い日、なにかのきっかけで子ザルが公苑のすぐ近くにあった旅館の露天風呂に入ったことで、だんだんと仲間のサルもつられて温泉に入るようになったそうです。
サルにとっては、エサを食べたり、遊んだり、仲間とのコミュニケーションをとったりする時間が長く、温泉に入ること自体が重要というわけではありません。でも、温泉に浸かるサルたちは、なんとも気持ちよさそう。私たちも、寒い日に温泉に入ると思わず目を閉じてしまう。親子で会話を楽しんだり、身体を洗い合ったり…身体がぽかぽかあたたまると、心まであたたまりますね。そんな気持ちは、ヒトもサルも変わらないようです。
mammoth No.26「MONKEY」(2013年3月15日発行)掲載
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